あなたは革靴を正しく使えていますか?
理解してそうで案外理解していないのが正しい革靴の扱い方。革靴の扱い方なんて両親にも教えてもらわないですし、誰も注意してくれないので間違っていても問題ないように思ってしまいがち。
しかし誤った革靴の取り扱い方をすると革靴の寿命は一気に縮みます。普段からスニーカーしか履かなかったり、革靴を履きつぶすようにして履いている人の99%はなんと間違った取り扱い方をしているのです...!あなたは正しい扱い方を本当にご存知ですか?
履きつぶし前提に履くのであればまだしも、奮発してちょっと高い靴を買ったのであれば少しでも長持ちしてほしいものですよね。そこで今回は、誰も教えてくれない革靴の正しい取り扱い方についてまとめました。
その1:紐をほどいて脱ぎ履き
革靴を脱ぎ履きする際には必ず紐をほどいてから行いましょう。紐を外し、少し下の紐部分までしっかりと緩めてから脱ぎ履きを行います。これを行うことで革靴を傷めないようにして脱ぎ履きすることができます。
靴ひもを結んだままの状態で脱ぎ履きを行うと、革靴に無理な力がかかるのでかかと部分に変なしわが入ったり、ライニング(裏地)が破れてしまう原因になりがちです。
また、本来は靴ひもをしっかりと締めることで革靴内部で足が動くことを防いでくれるので、靴ずれやタコが発生しにくくなるようになっています。
しかし、結んだままの状態で脱ぎ履きするとなると、脱ぎ履きできるだけの余裕が革靴内部にできることになりますので、足が靴内部で動いてしまうことで靴ずれやタコが発生するだけでなく、疲れやすくなってしまいます。
多少面倒ですが必ず脱ぎ履きする際には紐をほどく!これが基本です。
また、靴べらも持ち歩くようにしましょう。靴べら無しで靴を履くとかかとに大きな負担がかかります。かかとには芯材(芯が入っており曲がらなくなっている)が入っているのですが、その部分が曲がると修復がかなり難しくなります。ここが曲がるとすごく不格好なので、必ず靴べらを利用してかかとが傷つくのを防止しましょう。
靴べらを利用すればかかとのライニング(裏地)へのスレもかなり軽減できますし、修理の回数を減らすことができるので長期的に見ればコスパが良いのです。
できる限り携帯できる靴べらを持ち歩くようにして、履くときはいつでも靴べらを使得るようにしておきましょう。靴ひもをほどく、靴べらを使う。これはセットでおぼえておきましょう!
その2:1日履いたら2日休ませる
革靴は毎日履いてはいけないってご存知でしたか?人間の足は毎日コップ一杯分の汗をかくと言われています。あまり意識しないのでそんなに出てるの!って思いますよね。
さて、革靴はそんな大量の汗を吸収してくれます。革には通気性はありませんが、吸湿性がそれなりにあります。足裏から出ている汗をひたすら吸収してくれることで快適に歩くことができるというわけです。
大量の汗を吸湿した革靴は必ず休ませてあげなければなりません。基本的に1日履いたら2日間休ませるのが基本。つまり、革靴は最低でも3足は用意しなければならないということですね。
なお、革靴を毎日履いてしまうことのデメリットは次の通りです。
・劣化が早くなる
・足が臭くなる
一つずつ確認してみましょう。
劣化が早くなる
コップ一杯分の大量の汗は、革靴のライニング(裏地)によって吸収されます。裏地も革で作られていることが大半なのですが、水分を含んだ革は柔らかく変化します。特に過剰に水分を含んだ場合にはふにゃふにゃになってしまいます。
そのような状態で歩行を続けてしまうとライニング内部にダメージが入るようになります。結果的に劣化が早くなってしまうのです。
履きつぶす目的で購入している場合はまだ良いのですが、長く付き合いたいと考えている場合は毎日の着用は避けるべきです。
足が臭くなる
革靴を履いている人の足がすごく臭う...、そんな経験はありませんか?もしくは自分の足が臭ってやばいと思った人もおられるかもしれませんね。
足が臭いというのはその人の体質や生活習慣が問題だと思っている人も多いですが、実際には同じ革靴を毎日履き続けていることで起こる現象です。
足のにおいというのは足裏から発生する汗がムレることによって発生します。基本的には革靴の吸湿性によって汗は吸収されるため臭うことはないのですが、毎日同じ靴を履いてしまうと革靴の吸湿量が限界を超えて汗を吸収できなくなってしまいます。結果的にひどい臭いを発生させてしまう結果に。
嫌なにおいを発生させないためにも必ず靴は毎日買えるようにしましょう。
その3:濡れた時の対処方法を覚える
革は水に弱いというイメージはありませんか?革が濡れてしまった場合に正しい対処ができないと、雨シミができたり、ソールが反り返ってしまったりします。
少量の雨にあたってしまった場合
若干面倒なのが少量の雨にあたってしまったケースです。アッパー部分(靴底以外の部分)に雨が少量当たってしまって水が吸収されると、その周辺に水シミができてしまうケースがあります。
水シミというのは革に水が落ちた場合に、その周辺に革を染色していた色素が集まってしまい、シミのように見えてしまう現象のことを言います。
これらを発生させないためには、水拭きを行うようにすると解決できます。使わなくなったタオルなどに水を含ませて硬く絞り、それで革全体を若干濡らすようにして靴を拭きます。
そうすることで全体がまんべんなく濡れるので水シミを防止することが可能です。濡らした後は日の当たらない風通しの良い場所で2,3日しっかりと乾燥させましょう。
大量に濡れた場合
台風などの豪雨で革靴がびしょぬれになることもあるでしょう。そんなときの対処法は次の4ステップです。
- 乾いたタオルで水分をふき取る(内部が濡れている場合は内部も)
- なお、まばらにアッパーが濡れている場合には水拭きをする
- シューズキーパーを入れて1~2日乾燥させる
- それでもおそらく濡れているので、新聞を中に入れて乾かす。(濡れ具合にもよるが3~4日)
いきなり新聞を中に入れて乾燥させたくなる気持ちはありますが、濡れた状態で放置しておくとソールが反り返ってしまうことがしばしばあります。残念ながら新聞紙を中に入れていても、圧力がかからないのでシューズキーパーの代わりにはなりません。
一旦反り返ってしまうと中々もとに戻すことができないので、まずは反り返らないようにしなければなりません。そのためにまず最初にシューズキーパーを入れるようにします。
1~2日乾燥させたにもかかわらず革靴が乾燥しないときにはじめて、シューズキーパーを抜いて新聞紙を入れるようにします。新聞紙を入れてからはさらに3~4日乾かし、完全に乾燥させるようにしましょう。
その4:瞬間接着材は利用しない。
革靴を利用していると、靴底の一部がはがれてしまうことがあります。そんな際は応急処置として接着剤を利用しているケースもあるでしょう。接着剤で応急処置をすること自体は別に悪いことではありません。
しかし、絶対使用してはいけないのは瞬間接着剤。瞬間接着剤は空気中の水分と化学反応を起こすことで硬化し、最終的にはプラスチック状になって固まる仕組みだが、柔軟な動きをする革靴には不向き。プラスチック上の瞬間接着剤は、歩く際の伸び縮みに対応できず割れてしまう。
接着材を利用する場合には固まっても柔軟性のあるもの、例えばゴムや布、革に対応した接着剤が望ましいと言えます。革専用、革靴専用に接着剤が販売されているので、それを利用するのが無難。
その5:2週間に1回は磨こう。
靴磨きだけは絶対に怠ってはいけません。靴底、いわゆるソールやヒールというのはいくら消耗しても交換してしまえば新品同様によみがえるので問題ありませんが、アッパー部分が消耗してしまうと修理することは困難です。
つまり、靴を大切に長く履き続けようと思うのであれば、必ず靴磨きをしなければならないのです。
革というのはもはや生き物ではないので、水分や油分を外部から補給してあげることで美しさや品質を保たなければならないのです。靴磨きでは、水分や油分を効率よく革の中に入れることができます。
靴磨きを行う頻度でベストなのは2週間に1度。忙しくてできない場合でも最低1か月に一度は行うようにしましょう。
具体的な靴の磨き方や、磨くにあたって必要な道具はこの記事に書いてあるので一読することをお勧めします。
まとめ
今回は正しい革靴の取り扱い方にかんするあれこれについて書きましたが、いかがだったでしょうか。
今回紹介した取り扱いに注意するだけでも革靴の寿命はぐんと長くなります。靴磨きは道具を揃えなければならないので今すぐにとはいきませんが、靴ひもをはずして靴を脱ぎ気するぐらいは簡単にできますよね。
簡単にできるものから初めて、革靴を大切に扱えるようになってくださいね!