【なぜ、あの社長は給料0円なのか?】1年間無給で働く、学生起業家のこれから。

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ご報告があります。

 

向こう1年間の給料0円が決定しました。

 

 

・そもそもなぜ起業したのか

・なぜ給料0円なのか

・株式会社Shoeberのこれからの展開

 

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 学生だけど起業しました。

靴磨きとの出会い

ある大阪にある旅行会社のインターンシップに参加した時、自分の履いていた革靴がきちんと磨かれていませんでした。学生のインターンシップとは言え参加する以上は一人の社会人。会議などにも参加し、企画内容に関する意見なども求められました。

 

見た目が9割という本が少し前にはやりましたが本当にその通りだと思っていて、身なりというのはその人のやる気を示しています。もちろんその職種などによってベストな身なりは変わりますが、きちんとした道具や製品を使っているかどうかやそれらの手入れが行き届いているかどうかでその人のやる気や、仕事に対する思いというのは簡単に伝わってしまうものです。

 

学生ということもあって的外れな意見も言うかもしれないし、役に立たないかもしれないけども一人の社会人としてきちんと見られなくてはならない。本気度を見せるためにまずできることは靴磨きでした。

 

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靴磨きの本を読み終わったあとから、お勧めされていた靴磨き用品をアマゾンで一通り注文し、届いたその日から靴磨きを始めました。靴を磨いていくとインターン中通りすがる人が「すごく決まってるね!」「若いのにスーツが似合うね!」と言ってくださりました。

 

おそらく靴を注視していたわけではないと思うのですが、無意識のうちにみられていたのでしょう。

 

実際に靴を磨いてみると、他社からの評価が上がることはもちろんですが、何より自分の気持ちが良いことに気づくのにそう時間はかかりませんでした。磨いた靴を履いているだけで何となくその日のモチベーションは大きく上がっていたのです。

 

知らない間に私は靴磨きの世界にのめりこんでいくことになりました。

 

正式に起業した。

「靴磨きってすごい!」まずはこれを全世界に広げたいと考えるようになりました。

 

靴磨きを始めた当初は汚れた革靴でインターンに来てしまった恥ずかしいと思っていたのですが改めて周りを見渡してみると、それなりの役職の人でさえ案外靴が磨かれていないことに気が付きました。こういった人は靴磨きが趣味でもない限り靴磨きの時間を設けることができていないのです。

 

そこで、J-net(中小企業ビジネス支援サイト)にて靴磨きの利用状況に調べたところ、靴磨きを利用されているのは全体の1%程度ですが、利用してみたいという潜在顧客は全体の5%ほど存在することに気が付きました。

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ということは、自社が全部この潜在顧客を取ることができればビジネスとして十分に成り立ち、かつ多くの人に靴磨きの感動を届けられるのではないか?そう考えた結果、起業することに決定しました。

 

 

8月28日に正式に登記が完了※し、靴磨きとWEBメディアの会社「株式会社Shoeber」が設立されました。資本金たったの10万円でやる気があるのかと思われるかもしれないのですが、設立費用と初期費用などでトータルすると50万円以上はかかっているのでできる限り努力したつもりです。

 

「売り上げが経たないのに会社なんて無理だ」

「え、社長になるの?無理だろ(笑)」

「見込み客いるの?」

「就職は?」

 

おそらく私のことを気遣ってのことだと思うのですが、起業するにあたり周りからの厳しい言葉も実は受けてました。諸説あるものの起業後5年で8割の企業が倒産するという話もありますし、融資や資金繰りが難しい学生起業なんてのはなおさらもってのほかだと思われているのだと思います。

 

まあ実際起業してみると苦しくて8時間いて僕の手取り1800円なんてこともざらにあるんですが、自分のやりたいことに一歩ずつ進むしかないなと考えています。

 

司法書士にお願いしたこともあり、登記が9月1日付だと思っていたのでTwitterにはそのように書かれていますが実際には8月28日付でした。

 

なぜ給料が0円なのか。

何かと支出が多い創業期

靴磨きで起業しようと思ったのにはいくつかの理由があります。

 

 

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※始めたばかりの頃の写真

 

 

・店舗を持たなくて良い(WEB集客orホテル一角を借りる)

・サービス業などで粗利が高い

・初期費用が(他の事業と比べて)比較的安い

・華々しくない産業だけど、昔からあるものである

 

 

学生が起業するためにはこれらのポイントを押さえていないといけないと考えています。というのも学生は当然ですが資本力に乏しいので、資本力が必要となる不動産運営(ゲストハウス運営)や地代と多額の機材代金が必要となる飲食店等は向いていません。

 

できることであれば低額で始めることができて、毎月の固定支払い額が低く、さらに言えば在庫を抱えないのがベストです。靴磨きなら最悪100均の道具から始めることができますし、ホテルなどと提携すれば条件次第ですが土地代金を借りるよりも安く抑えることができます。

 

また、靴磨きという業界は華々しくはありませんが昔からあるサービス形態。常に必要とされてきてはいるものの、靴磨きの在り方は今でもそれほど変わっていません。

 

靴磨きで世界一となった、ブリフトアッシュの靴磨き職人長谷川さんが、今までの靴磨きとは打って変わって高級路線の靴磨きイメージを作ることに成功したものの、お客さんが靴を持ってきて預かって磨くという仕組みそのものはそれほど大きな変化を遂げていないのです。

 

ということは靴磨きの在り方を根本的に変えて、靴を磨いてみたいと思っていた5%の層を取り込めれば面白いのではないかと思ったわけです。最近流行りで利益率の高いIT系などに行かなかった理由はそういったところにあります。

 

 

そういったわけで靴磨きはお金がそれほどかからないし!と思っていたのですが、実際には

 

・高級路線なので高級な道具をそろえる必要がある

・常に勉強する

・(道具重すぎるし、靴を運べないので)営業車が無いとお話にならない

・面白いサービス開発には数百万円単位でお金が必要

 

等がかかり、創業してからも案外支出が多いのです。

 

車なんてコスト高いしいらないだろうと思うかもしれませんが、靴磨き店はホテルに構えているだけでは十分な利益を上げることができないので、外部から仕事を請け負って同時並行で行わなければ生きていくことすらままならないのが現状です。

 

そういうわけで道具や靴を一度に多く運べる営業車は必須になるのです。

 

直近だととりあえず(まだお金ないけど)30万円程度で中古車を探してもらっている状況で、駐車場は月額18000円、保険費用や駐車場契約にかかる諸費用を合わせるとなんだかんだ40万円ぐらいの支出になります。

 

役員報酬を0円にする

通常通り靴磨きをしているだけなら当然お金はいらないのですが、それではただのアルバイトと変わりません。学生起業をするなら靴磨き技術の向上は当然ですが、経営者として新しい販路やサービスを展開していかないといけません。当然お金がかかります。

 

そういうことで資本金10万円から始まった会社のお金をできる限り増やしていかなければならないのですが、最も大きな支出は何か?それは...

 

 

人件費。そう、私の給料になります。

 

10万円ぐらい初月からあればいいな~とか楽観的に考えていた私でしたが、現実はそう甘いわけがなく売り上げっていきなり上がらないものです。そうなると人件費を削れば、ビジネスに回すお金を確保できるはず。

 

会社を設立すると役員報酬を設定することになります。従業員の場合は給料になりますが、代表取締役社長の場合は役員報酬といって、一年間の給料をあらかじめ決めてしまうのです。途中で変更などはできないので、万が一売り上げが上がらない場合でも今月はなしで...なんてことができません。

 

また、法人を持っている社長が役員報酬を1円でも受け取ると次のような事態が発生します。

 

・厚生年金に加入

・健康保険に加入

・報酬に対して所得税が発生する

・報酬に対して住民税が発生する

 

まず厚生年金と健康保険に対しては、毎月3万円程度の支払いが発生します。基本的に代表取締役社長等は必ず支払う必要があるのですがそもそも報酬を受け取らないのであれば加入しなくて良い(というか多分できない)のです。

 

当然これは身を守るため・社会のために重要なものではあるのですが、学生起業家にそんな金があるはずがありません。だって年間で36万円ですよ?そのお金で新しいサービスが作れるじゃないかという考え方です。

 

また、所得税と住民税がかかる点についてです。これは報酬に対して変動する、個人の税金になります。まあ当たり前ですが納めなければなりません。

 

ただし問題点が一つあります。

 

売上がうまく上がらなかった際に良く行われるのが給料カットですよね。社長の給料を削って何とかするというものなのですが、少し前に説明した通り役員報酬というのは1年間固定なので変更することはできません。

 

そのため、給料は未払いの状況となるわけですが、実際には未払いというだけで会計上は会社側から役員報酬を受け取ったということになります。結果的に自分の給料が実際に振り込まれていなくとも所得税と住民税を支払わなくてはなりません。

 

結果的に個人(私)が破産するということになるんですよね...(笑)

 

こうなるとまたいろいろと大変なので、そもそも給料を受け取らずに何とか乗りきって、学生起業を頑張るしかないなという結論に落ち着いた次第です。

 

 株式会社Shoeberのこれから

【現段階でやっていること】

・ホテルでの靴磨きサービスの提供

・ブログでの靴磨き情報の発信

 

【これからやること】

・資金調達(ビジコン・クラウドファンディング・融資)

・WEBでの靴磨き宅配サービスの展開

・訪問靴磨きの販路拡大

・新サービスの提供(後日発表)

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株式会社Shoeberでは、現段階ではホテルでの靴磨きとブログによる収入しかありません。収入が無いわけではないのですが、この収入柱だけでは安定して食べられるほど稼げないことが想定されます。

 

そこでこれからやっていくことはWEBでの宅配サービスの提供と、訪問靴磨きの販路拡大が最優先課題です。

 

WEBサービスを通しての宅配となるとどうしても現段階では送料が高くついてしまうためあまり大勢の顧客を見込むことができないのですが、対企業に対して訪問靴磨きを行うことで空き時間をなくし、売り上げを上げることを目指します。

 

その一方で考えているのが新サービスの提供。アプリを通したサービスの提供です。現段階ではまだ構想段階ですし資金が足りていないためまだ非公開ではありますが、これから半年のうちにビジネスコンテストや融資を通して資本をあつめ、開発を進めていく予定です。

 

目標は?

目標としては1年目で月々の売り上げが50万円、2年目で100万円を目指します。おそらく初月の売り上げは5万円程度に着地しそうな感じなので、ここから改めて収入源を見直していく所存です。

 

まとめ

財務面の見積もりが甘く、これから1年間の収入が0円になった私ですが、着実に信用面のメリットは受けられていると実感しており、ありがたいことに創業してから協力者がかなり増えたように思います。

 

徹底的に会社のお金を増やすようにして新しいサービスを開発して、皆様に最高の靴磨きと、面白い体験を提供できるように頑張りますのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

靴磨きの本

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