どうも、靴磨き職人の村上友哉です。
皆さんは2018年6月に発売された「究極の靴磨き」はもう読まれましたか?
日本のシューケア用品産業を牽引し続けているコロンブスの全面的な協力の元で、Begin&MEN'sEXの特別編集によって作成された素晴らしい本。
靴磨きの新常識満載ということで、今回はこの本を購入&読了したのでざっくりしたまとめと感想についてお話ししたいと思います。
この本の概要
この本は先ほども書きましたが、コロンブスの全面協力のもと、BiginとMen'sEXの特別編集によって作成されています。まあつまりは世界文化社さんから出版されてるっていうことです。
価格は1300円+税込みって感じになってます。
MEN'sEXは靴磨きに関する情報満載で靴磨き始めたころから愛読してたのでこの本は期待せざるを得ないなと思ってすぐに買っちゃいました。
すごい人が技術提供
この本で紹介されている製品提供がコロンブスから行われているのはもちろんのこと、技術を紹介してくださる人もコロンブスのすごい人です。
教えてくださるのは三橋弘明さん。靴専門商社や高級紳士靴専門店、大手百貨店紳士靴売り場の勤務をしながら靴磨きを独学で学び続け、現在はシューカラーリスト、シューシャイにストとしての活動を広げています。
http://www.columbus.co.jp/release/company_news/2015/20151020.html
ちなみに本書に限らず、コロンブスにて靴磨きセミナーなども開催しているほか、
マドラスのWEBサイトにて一般的な靴磨きの方法や、アンティーク仕上げに関する記事を執筆する等マルチに活動されてます。興味ある方はぜひ見てみてはいかがでしょうか。
この本で学べること。
それほど分厚い本ではないのですが、その割に学べる内容は豊富です。最低限ではあるものの靴の製法などに関しても触れられており、初心者にわかりやすい内容になっています。
・スムースレザーの磨き方
・スエードレザーの磨き方
・コードバンの磨き方
・短時間での靴磨き、鏡面磨きをする方法
・立体的な鏡面磨きを作る方法
・アンティーク磨きを作る方法
・トラブルに関する対策(傷、カビ、塩吹き、クレーター、シミ)
・磨きがいのある素晴らしい靴10選
これ一冊読めば定番の靴磨きはほぼマスターできますね。
印象に残ったこと。
ここでは内容的にいいなぁ、共感できるなと思った部分についていくつか紹介しておきます。
頻度に応じた靴磨きについて触れられている
靴磨きと言えば何日おきにすればいいんですか?みたいな疑問が多いですが、答えとしてはその時その時に合わせて手入れの方法が変わってくるというのが答えになります。
この本では、
・おろしたての時にやりたい靴磨き
・履き終わりすぐに行いたい手入れ
・週に1回は行いたい靴磨き
・月1で行うべき靴磨き
・半年に1回行うべき靴磨き
といった感じで紹介されています。
例えば、鏡面磨きは週1回行うべきなのか、月1回で良いのか、みたいな疑問はここで解決されます。
靴クリームは逆さ保存が常識って知ってた!?
これ、僕知らなかったんですが、靴クリームは逆さ保存が常識なんですよね。
逆さ保存にするとキャップ部分にクリームが付着することで内部の水分やクリーム成分の揮発を抑えることができます。蓋開けてないからいつまでも保存できてると思ったら大間違いで、上を向けて保存してると少しずつ品質が悪化しているんですよね。
この本では靴業界に20年を過ごし、現在ではコロンブスに努めているからこそ話せる三橋さんならではの豆知識ですね。
お勧め靴が惜しみなく紹介されている
本の最後ではお勧め靴の紹介が惜しみなくなされています。10足の靴が紹介されています。
1つの靴につき紹介文が800オーバーで書かれていてすごく圧倒されます。たぶんこの辺はMEN'sEXが長年雑誌で培ってきた知識が書かれているんだろうな、さすがだなという感じです。例えば最初に紹介されているジョンロブのシティⅡの冒頭部分を紹介するとこんな感じ。
イギリスとフランスの幸福なマリアージュ
もっともドレッシーな靴種とされるストレートチップ。正式名称、キャップトゥオックスフォードは爪先を一文字に切り替えたデザインとヴァンプの下に潜り込ませたレースステイが特徴だ。19世紀中盤のオックスフォード大学の学生が履き始めてほどなく市民権を得たと言われている....(以下略)など
最後10足の合計金額はなんと約160万円で、一足あたり16万円!紹介されているからとお手軽に手を出せるものではありませんが、高級靴に関する知識をあれこれ詰め込むことができるので非常に良かったです。
この本の評価
最後はこの本の評価についてです。
良かった点
・靴磨きに関する知識がまんべんなく紹介されている。
・トラブル(シミや塩吹き、カビ等)に関しての知識がわかりやすく紹介されている
・全体的に写真が多く読みやすい
・豆知識や巻末のお勧め靴に関する記事も興味深い
良くなかった点
・細かな靴の製法や作りに関しては書かれていない(上級者向きではない)
・コロンブス協力の為、他社製品に関する記述が無い(まあ当然)
・防水スプレーや簡易的な靴磨きキット等を推奨する記述がある
総評としては靴磨き初心者向けとして非常に優秀な本であると言えます。写真が多くわかりやすいことが特徴で、基本に忠実、非常にベーシックです。
一般的な靴磨き入門書になりつつある、長谷川氏の靴磨きの本よりも、写真が多いので初心者の方にはイメージをつかみやすいと言えます。
しかし、コロンブスが全面協力しているので仕方ないですが、この本だけでは他社製品との比較ができない点が残念ですね。また、商品を売り込みたいのか1分で簡単に靴磨きができるシリコン配合製品などが紹介されているのは残念なところ。あれはあまり革に良くないので...
もちろんコロンブス製品は素晴らしいですし、私自身愛用していますが、商品によってはコロンブスよりも優秀な製品もありますので、この辺は自分で試していただくか、僕のブログを参照しながら購入すると間違いないですね~
まとめ
今回は世界文化社から発売されている究極の靴磨きについてご紹介しました。主に初心者向けに幅広く技術が書かれている本なので靴磨き初心者は必ず持っておきたい一冊です。
また、もう靴磨き上級者だよ~という人も、磨きがいのある靴カタログを読みたい場合や、トラブル対策にまだまだ自身が無いという方は写真と一緒に詳細な説明が書かれていますので、購入する価値があります。
皆さんも読んでみてくださいね~!ではまた。
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