去年の10月20日から始めたプロジェクトである、革靴100足磨くまで終わらないプロジェクトを行っていたのを皆さんご存知でしょうか?
私は靴磨きに興味を持ち始めて約1年ほど。当初は靴磨きを何とか事業化できないか、どうしたら靴磨きに技術が向上するのかを色々と考えていました。
しかし私には考えるほど有能な頭が備わっていなかったせいか、「とりあえず片っ端から靴を磨けばよいではないか」というあまりにも短絡的な結論に陥った結果始まった結果始まったのがこのプロジェクトになります。
かなり前の段階で終わっていたのですが、他の業務で相殺されたまま更新しないままでいました。終わったけど記事にするべきかどうか悩みましたが、このプロジェクトがきっかけで僕の環境が1年間で大きく変わったので書き残しておきます。
今回はこの靴磨きプロジェクトを完了して、
・実際にやってみた感想
・終わってから変化したこと
・プロジェクトから学んだこと
このあたりについて書いてあります。
ちなみに【革靴100足磨くまで終わらないプロジェクト】とは何か具体的に知りたい方は以下の記事にて詳細が記載されていますので、まだ読まれていない方はどうぞ。
感想
「100足磨くまで終わらないプロジェクト」を通して感じたことは以下の通り。
・一言でいうと大変だった【靴磨きプロジェクトの始まりとは】
・集客が難しい
・自分の技術不足が浮き彫りになった
・靴磨きの技術は一気に向上した
・様々な職種の人に興味を持ってもらえた
一言でいうと大変だった。【靴磨きプロジェクトの始まりとは】
100足磨くまで終わらないプロジェクトを通して感じたことはシンプルに大変だったなと。この一言に集約されるのではないでしょうか。
当時の私はダンス部に所属する大学2年生。 1年生の頃から起業したいなと思っていたこともありましたが結局何もできないままぐずぐずしていました。
1年生の頃はフィリピンへ留学、2年生の頃は「武者修行プログラム」というベトナムでのインターンシップに参加。その後は大阪にある旅行会社「地球の歩き方」にてインターンシップに参加。参加後もこの会社のライターとして活動していた時期もありました。
何か変わるきっかけを求めていたのかもしれませんね。残念ながら私の頭脳は高性能にできていないので圧倒的な行動力を持ってやりたいことを見つけるしかありませんでした。そんな中面白い!とはまり込んでいったのが靴磨きでした。
靴磨きの面白さに気付いたのと同時に気付いたことが3点ほどありました。
・世の中の社会人は靴磨きをしていない(あるいはする時間がない)人が多い
・古くからある産業なのに、なぜか年収が低い
・靴磨きの需要は高い
靴磨きを現在していないが今後利用してみたいという潜在需要が高いにもかかわらず、なぜかこの業界の年収はそれほど高くない...これは仕組みを大きく変えれば実はとんでもないビジネスになるのでは...。そう思って何とか行動に結びつけたのが「革靴100足磨くまで終わらないプロジェクト」でした。
まず最初は学校内の図書館前にて靴磨きを始めました。自分の靴が一通り磨き終わったので練習を兼ねて友達や学内の人の革靴を磨いていこうと考えたわけです。当然無料でした。
学生とは言えど一応1、2足程度は革靴を持っているわけで、友達はもちろんのことTwitter経由で依頼が来たことや紹介等いろいろとありました。
とまあ、一応靴磨きの依頼はそこそこ来たのでOKだったのですが、何より気になったのは周りからの視線でした。今だからこそ言えるんですが、普通に恥ずかしかったんですよね。
東大や早稲田、慶応などのスゴい大学では学校の敷地内でいろんな活動をしているのが普通なイメージがあるのですが、私の大学は兵庫県立大学という地方公立大学です。すごく良い大学ではあるのですが、変人が敷地内に存在するような(?)奇抜な場所ではありませんでした。
そんな敷地内の誰もが通る道で靴磨きをしている人がいるわけです。靴磨き無料とか看板出しちゃってるわけです。変人にしか見えませんよね。改めて振り返ってみると自分でも思います。変人です。
SNS等で「靴磨いてもらってます~!」と好意的に拡散してもらうこともあれば、「何奴、」となんかやばそうな感じで拡散されたこともありました。
学内の皆の大半が「靴磨きをしているよくわからない人」として認知することになりました。
当時の自分からすると自分が知らない人から「何をしているのかよくわからない変人」として顔が知れ渡るのは何かとストレスでしたし、このプロジェクトを行っている間は1銭にもならない訳で、いったい自分は何をしているのだろうと考えに陥ったこともありました。
また、路上に出たり、ダンスイベントの一角を借りて靴磨きしたり...いろんなことをさせていただきましたが常に恥ずかしさと緊張、謎のプレッシャーに囲まれていました。
とりあえずプロジェクトが終わった時の正直な感想は、達成できてうれしいというよりは、ようやく終えることができたというのが正直なところです。
集客が難しい
靴磨きを行う上で苦労したのはやはり集客。
靴磨きを利用してくれたのは主に友人やその知り合い、大学教授・大学に来たゲストスピーカーなどでした。
無料ということもあり友人は軽く告知した段階で依頼してくれましたし、大学教授や講義のためにやってくるゲストスピーカーの方にもお願いすれば比較的簡単に磨かせてもらうことができました。
しかし、難しいのは全く面識のない人の靴磨きです。
顔なじみの人が多いとはいえども知り合いの数は限られているため、重要になるのは面識のない人も集客しなければならないということでした。Twitter経由や紹介してくれる人もいましたが、それほど数が多いわけではありません。
革靴100足磨くまで終わらないプロジェクトを始めた2か月ぐらいは簡単に足数が伸びていったのですが、その後は徐々に客足が伸び悩む結果となっていました。実は。
無料でさえ靴磨きを利用しないのだから、いざ有料となるとなおさら集客は難しいのだろうなと。ビジネスの難しさを何となくですが肌で体験することとなりました。
自分の技術不足が浮き彫りになった
この革靴100足磨くまで終わらないプロジェクトを通して浮き彫りになったのが、自分の技術不足でした。始めた当初はたった1冊の本を読みこんだ段階で始めたほか、理解できているようで理解できていないことがたくさんありました。実際やってみるまで気が付かないもんです。
ありがたいことに様々な人の革靴を磨かせていただいたのですが、具体的には次のような失敗をしてきました。
・クリーナーの量が多すぎてシミを作りかける(耐えました)
・クリームを塗りこんだ後のブラッシングが甘くて光らない
・銀面がはがれている靴が磨いた後黒くなって焦る(銀面がはがれていると染色されず黒くなるケースがある)
・焦ってほこり落としのブラッシングを忘れる
・ガラスレザーなのにクリームで仕上げてしまう。
・鏡面が荒い
・時間がかかる
革の状態が見極められなかったり、革に関する知識不足や適切な仕上げ方ができずにいることも多かったのではないでしょうか。パテントレザーとスムースレザー、ガラスレザーの見分けも難しかったですし、本革とフェイクレザーの違いも判りませんでしたし。銀面?なにそれっていう感じでした。
そもそも、当時は失敗であることすら気づいていなかったのですが、今考えるとなかなかすごいことしてたなと自分でも思います。大きな失敗をしなかったのがまだラッキーだったなと。知識不足ゆえに自信もなかったですし、それが態度や雰囲気にも表れていたに違いありません。
靴磨きの技術は一気に向上した
靴磨きに関する知識がほぼないところからのスタートだったことは先ほど説明した通りでした。自信も全くなかったですし、始めて磨くような靴が来た時にはプレッシャーを感じていました。
常にこのプレッシャーに潰されそうになっていたものの、悪いことばかりではありませんでした。
やればやるほど無数にわからないことが出てきました。
・正しいクリーナーの使い方は?
・布の巻き方は?
・使うべき布は何か?
・使いやすいワックスは何か?などなど..
靴磨きに関する書籍も今となってはかなり多く、最近発売された本から10年前に発売された雑誌まで全て買いあさって調べては必ず試すを繰り返していました。あと実際に東京に行って靴磨きをしてもらっては技術を盗んでみるなど。
WEB上にも靴磨きに関する情報を発信しているブログは何件か存在しますが、それほど多いわけではありませんし何より似通った情報が配信されているばかりで調べてもわからないことも多く存在しています。
結局のところ数少ない情報をもとに自分なりに進んでみるほかにありませんでした。
結果的にここ1年間で靴磨きの技術は始めた当初と比べて大幅に向上しました。おかげさまで現在では株式会社Shoeberという会社を設立できただけでなく、神戸の高級ホテル「ラ・スイート」に駐在させていただけるほどに。
もちろんまだまだ靴磨きの道が始まったばかりであることは重々理解していますが、まず第一歩、踏み出せるほどの技術力をつけることができて良かったなと感じています。
様々な職種の人に興味を持ってもらえた
・伊藤忠商事のOB
・営業マンのおじさん
・大学教授
・有名ブロガー
・某ホテルの支配人
・フィリピン人の奥さん
等々、靴磨きを始めてから様々な人とお会いし、靴磨きをすることができました。
あと、やぎ社長( @yagijimpei )の靴も結構前に磨いた。
— 村上 友哉【神戸で靴磨き中】 (@murakami_yuya) December 17, 2017
他にも千葉のコワーキングスペースまるもにいた人の靴も磨かせてもらった。合計27足目。 pic.twitter.com/49Zk1i8mfN
靴磨きをしている間は当然待ち時間が生じるので、話をする時間があります。靴磨きをお願いしてくる人は若い人というよりも年配の方が多く、その人がどのようなことを今までしてきたのか、これからどうするべきなのかというアドバイスなどをもらえたこともあります。
そのほか、大学教授などに認知してもらえたこともありがたかったです。定期的に磨かせていただいていたのですが、法人化をきっかけに革屋さんを紹介していただく等お世話になっています。
様々な業種について知ることができるだけでなく、今後の展開のきっかけとなる出来事も多く発生しました。本当にやっていてよかったなと感じるばかりです。
変化したこと
革靴100足磨くまで終わらないプロジェクトを始めてからというもの、たった1年間にもかかわらず環境が大きく変化しました。具体的には以下の通り。
・靴磨きの会社「株式会社Shoeber」を設立した
・神戸の高級ホテル「ラ・スイート」で靴を磨けることになった
・いろんな人と出会えた
靴磨きの会社「株式会社Shoeber」を設立した
まず一つ目は会社を設立したこと。少し前にもお話しした通り8月28日付で株式会社Shoeberを設立が完了し、今までただの学生の一人にすぎなかった私が代表取締役社長となりました。
昔から社長になるのが夢でしたが、社長って色々厳しいんだね..と実感。昔はただただ金があって、自由で、なんかすごい存在だと思ってたんですがそういったイメージとは程遠くて世の中の社長ってすごいなと実感してます。詳しくはこの記事に書いてたりします。
一言でいうと儲かってないですし、まだまだ軌道にものっていないので大変ではあります。ぶっちゃけ起業なんてしてなかった時のほうが余裕で収入多かったのですが、普通に大学生活をしているようではなかなか踏み出せない1歩を踏み出せたように思います。
この決断ができたのもプロジェクトを実行したからこそ。頭で考えているだけではなかなか起業なんてできないですが、一度足を踏み入れたからにはただの変人で終わっていいのか、きちんと最後までやり遂げなければならないのではないかという思いもありますし、何より靴磨きを広めていきたいと思っています。
まだまだこれからですが精進します!
神戸の高級ホテル「ラ・スイート」で靴を磨けることになった
二つ目は神戸の高級ホテルで靴磨きができるようになったこと。詳細は以下の記事に書いてあります。
こんな高級ホテルで磨けることができるようになったのは本当に偶然、もはや奇跡と言わざるを得ない事。ありがたい、感謝の言葉しか出てきません。
靴磨きを始めてから当ブログとTwitterでは靴磨きの磨き方やそれらに関連する情報を発信し続けています。それが某ホテルの支配人さんの目に留まったことがきっかけ。
そのホテルでは磨かせてもらうことができなかったのですが、そこで出会った人とのつながりがきっかけで現在のホテルで磨かせてもらえることになりました。
今まで靴磨きは1円も生み出していなかったですし、このブログもほぼ収益が出ない状況でしたので本当に大変でしたが、その作業をしていたことが幸運して現在につながってます。人生は何が引っかかるのかほんとにわからないもんです。
いろんな人と出会えた
靴磨きを始めていろんな人に出会うことができました。プロジェクトをして、起業すると腹をくくっていると実際に起業している人や上記のように個別にご連絡がもらえることもしばしば増えました。
直接仕事につながる人、そうでない人様々ですが本当にありがたいことです。
プロジェクト私に教えてくれたこと。
プロジェクトはいろんなことを私に教えてくれました。本当にやってよかったなと。具体的には...
・挑戦を始めるのは恥ずかしいもの
・実行しないと全体像が見えない
・やり続けると成果が出る
この3点になります。
挑戦を始めるのは恥ずかしいもの
挑戦を始めるのって勇気がいること。挑戦というのは人それぞれで、勉強して資格を取るのも挑戦ですし、ブログで稼ぐというのも挑戦ですし、私みたいに靴磨きでプロジェクトを達成する・起業するというのも挑戦だと思います。
ただし挑戦には2種類あって、世間に理解されやすい挑戦とそうでない挑戦があります。前者は今まで成功事例が多く、一般的であるもの。後者は今まで前例がない、もしくは少なくほとんどの人がやりたいと思わないものになります。
どちらも挑戦するのは良いのですが、後者の挑戦の場合は様々な方向から視線を浴びることになります。
・両親→就職はどうするの?
・友人→靴磨きしてる変な奴
・大学教授→こんな奴いままでおらんかったぞ
・中小企業診断士→法人化するメリットわかってますか?
多分周りは心配してくれてるんですが、いざ言われる当事者となると毎日上記のようなことを言われるので本当に大丈夫なのかとか、恥ずかしいなと思うようになります。
ただし、挑戦してみないと結果はわからないものですし、実際にプロジェクトを完遂すると何かと成果や学べることがあります。
多分挑戦は何歳になっても恥ずかしいもの。さらに歳をとると仕事や家族、世間体に相殺されかねないですね。特に若いうちは若気の至りなんて言葉で済まされるほうが多いですし、挑戦は早いことに越したことがないですね。
実行しないと全体像が見えない
プロジェクトを始めた当時は靴磨きでどんな感じで展開していくのか、店舗はどうなるのかなんて全く想像していませんでした。というかできませんでした。
想像しているのとやってみるのは本当に別物で、実際にやり始めてみると何かと難題にぶち当たるものです。この難題にあたっては修正をするうちにどうすればよいのかが見えてきます。
何かやりたい!と思ったらとりあえず自分ができる範囲で動いてみて、できることを増やして...というように、実行しないことにはそもそもうまくいかないことを当たり前ながら学びました。
やり続けると成果が出る
継続は力なりとは本当によくできた言葉で、その通りだなと感じさせられます。靴磨きを始めた当初は変人扱いでしかありませんでしたが、プロジェクトを通して靴磨きの技術が向上したり、法人化等一歩ずつ進んでいくことで回りからの評価は少しずつ変わりだしました。
役立ちそうな取引先を紹介してもらえたり、商品の卸かたを勉強させてもらったり、はたまたTwitterのDMでお仕事をもらえるようになったり。
靴磨きもブログもなんでもそうですが、何がつながるかわからないもの。成果はまあ出ないものなのでとにかく継続して成功するまでいかないといけません。これからも頑張ります。
まとめ
今回は革靴100足磨くまで終わらないプロジェクトを完遂できたご報告と、それによって変化したことなどを文字に起こしてみました。
これからも頑張り続けるので、これからも株式会社Shoeberをよろしくお願いします!