知ってそうで意外と知らないのが「シューケア」。いわゆる靴磨きの基本のやり方になります。あなたは自信をもって正しいシューケアとは何か説明できるでしょうか?
革靴を履いている人の多くが正しいシューケアのやり方を知らないのが現状です。靴磨きをしないがためにすぐに革靴がだめになって、買い替えてしまいます。さらに言えば靴磨きは様々な道具を揃えなければ行けない上、靴を磨く時間もかかるので行わない人が多いです。
しかし、安物の革靴であっても正しいシューケアをするだけで5年、いや10年は履き続けることができるのです。靴磨きをすることで長持ちしてコスパが良いだけでなく、靴が綺麗な状態が保たれて一石二鳥。正しいシューケアのやり方を知らないのはすごくもったいないのです。
そこで今回は、
・シューケアとシューシャインの違い
・正しい靴磨きのやり方
・靴磨きに必要な道具とは
等を紹介していきます。
シューケアとシューシャインの違い。
今回はシューケアについてご紹介しますが、あなたはシューケアとシューシャインの違いはご存知でしょうか。
シューケアとは
シューケアとは、靴を長持ちさせるために必要な靴磨きである。靴磨きの最も基本となるやり方はこの部分。具体的には、
・ブラッシング(ホコリ落とし)
・クリーナー(汚れ、古いクリーム落とし)
・乳化性クリーム(水分、油分入れ)
等があります。
革靴は履けば履くほど革に含まれている水分や油分がどんどん抜けていきます。生き物の場合は体内から栄養分を補給できるので何もしなくてよいのですが、革靴の革はすでに生き物ではないため、長持ちさせるためには外部から栄養を補給してあげる必要があるのです。つまり、正しいやり方で靴磨きしてね、ってことです。
なおシューケアをやってあげることで得られるメリットとしては、
・靴が綺麗になる
・靴が長持ちする(ひび割れする確率が下がる)
・靴が履きやすくなる
等があります。
正しいシューケアは靴を長持ちさせるだけでなく、靴が綺麗になったり履きやすくさせる効果も持ち合わせています。頻度的には2週間に1度は行いたいところです。
シューシャインとは
シューシャインは靴を光らせるために行う靴磨きのことで、靴磨きの応用になります。人間でいうところのお化粧のようなものです。具体的には
・全体を軽く光らせる
・つま先やかかとを鏡面にする
などが挙げられます。
別にやらなくても良いけどやったほうが革靴がかっこよくなるというのがこの段階になります。シューケアだけでもかなりきれいになるけど、シューシャインをやると革靴がもはや別物と思うぐらい劇的にきれいになります。
シューシャインの方法は様々ですが、基本的にはつま先やかかとを鏡面に仕立てるのが一般的。この靴磨きはやり方がいっぱいあるので自分に合ったやり方を見つけるのも楽しみの一つだったりします。
頻度としては1か月に1度やるぐらいのイメージです。自分でできない場合も多いので、プロに任せても良いでしょう。
靴磨きを始める前に。
靴磨きを始める前に、チェックしたいのが、場所と服装になります。
場所について。
靴磨きというとイメージ的に玄関で行うものだと思っている人が大半だと思います。しかし、実際のところ玄関で靴磨きするのってなかなか大変です。
今回行うシューケアは10分ぐらいで終わりますが、その後のシューシャインを含めると靴磨きに40~60分ぐらいザラにかかります。なのでかがんだ状態でずっとやるのってなかなかしんどいんですよね。
また、ブラッシングする際にクリームが飛び散ったりする場合があるので汚れても良い(または簡単に汚れが落とせる材質で作られた)場所で行う必要があります。(ない場合は新聞紙を敷いて汚れないようにしておきましょう。)
さらに言えば、暗い場所だと靴磨きで靴が綺麗になっていく変化が見えにくいのでできるだけ明るい場所でやったほうが良いと言えます。
靴磨きをする際にお勧めな場所としては
・机のあるところ
・できればベランダ
・あとは庭
なお、僕はあまり良いスペースが無いので玄関でうずくまるようにして靴磨きをしています。
格好について。
靴磨きをしていると、気を付けていても服にクリーム汚れが付く場合があります。ブラッシングの際などにクリームが飛んでくることがあるんですよね。胸元やお腹周辺、あとは手首周りなどが汚れがち。
手首周りは袖捲りなどで対応できますが、胸元やお腹周辺の汚れはなかなか落とせないので汚れても良いTシャツを着るか、エプロンなどを用意すると汚れなくて済みます。
一応油性汚れなので洗剤などで落ちることが大半なのですが、材質によっては痕が残ることがしばしばあるんですよね。コットン類に付着するとなかなか落ちないので注意してくださいね。
正しいシューケアのやり方
靴磨きにもシューケアとシューシャインの2種類があり、それらの違いを分かってもらえたところで、今回はシューケアの具体的なやり方について説明します。
1.靴ひもをほどく
靴磨きをする際にまず行うことは靴ひもをほどくことです。これらを外さないと靴ひもがある部分を隅々までシューケアすることができないんですよね。時間がない時は外さなくても良いが、できる限り外すようにして上げるようにしましょう。
なお、靴ひもを外した時にくたびれていたり、ほこりまみれになっている場合は靴ひも交換の合図。革靴の靴ひもは洗うと劣化します。そのため買い替えが基本なので合わせて確認するようにしておきましょう。お勧めは紗乃織靴紐(さのはたくつひも)。ちょっと割高だけどしっとりしたしなやかさが特徴の、知る人ぞ知る靴ひも。
2.アルコールで除菌する
次に、靴の内部をアルコールで除菌する。アルコールを綿や布にしみこませ、中をふき取れば除菌が完了します。雑菌はもちろんの事、カビ菌などもアルコールで殺菌できる。ふき取りに使った綿や布は必ず使い捨てるようにしましょう。
特にカビ菌は繁殖すると表面上に白く浮き出てきます。浮き出るとその対策もしなければならず面倒な他、水虫の原因にもなるので普段の靴磨きのやり方の一環として取り入れることをおすすめします。
ちなみにアルコールを面や布にしみこませるのが面倒な場合は除菌シートで代用するとお手軽で良いです。どうせ捨てなければならないのでコスト的にもこちらの方が安いかもしれない。370円とかで買えます。
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3.シューキーパーを入れる
靴磨きを行う際に必ず心掛けたいのがシューキーパーを入れることです。シューキーパーを入れると曲がっていた履きジワが伸びてそこに栄養分を入れやすくなる効果があるほか、そもそも磨きやすくなります。
ノーブランド品であれば2000円台から購入可能なので必ず購入しておきましょう。
あと、どうしてもお金をかけたくない場合には100均に行けば売っていることがありますので確認すればよいでしょう。
4.ほこりを落とす
ここまで出来たらいよいよ靴を磨いていきます。まずはホコリ落としから。ほこりを落とす際に使うのは馬毛ブラシ。このブラシを使って隅々までほこりを落としていきましょう。
ソール部分とアッパーの溝のところや、土踏まず周辺、あとは紐が結ばれていたベロのような部分には、ほこりが溜まりやすくなっているので丁寧にブラッシングをしてほこりを掻き出すようにしましょう。
※ソール...靴底
※アッパー...靴底以外の靴本体部分全般を指す。
初めて購入する場合は比較的小さくても持ちやすく、安価な馬毛ブラシであるPTCLのブラシがおすすめ。799円で買えるので東急ハンズとかで買うより安いんですよね。小さいので携帯用にももってこいです。
レビューしている記事もあるので、他のブラシと比較したい方はこちらも読んでみてくださいね。
5.クリーナーで汚れを落とす
クリーナーを使って古いクリームやワックスを取り除いていきます。また、ラーメンの汁といった油性汚れもこのクリーナーである程度落とせます。不要な蝋(ろう)成分をふき取ってあげることで、次の工程でクリームを入れた際に、その入りが良くなります。女の人が夜に化粧落としをするイメージですね。
まずクリーナーと布を用意して、布を指に巻き付け、布にクリーナーをしみ込ませてふき取っていきます。布に取る一回分のクリーナーの量は大体100円玉ぐらいです。多くとりすぎると水分過多で革靴にしみができることもあります。取りすぎないようにしましょう。
クリーナーで靴を拭いていくと、汚れが布に移って布が汚れていきます。布が汚れたら汚れていないところで指にまき直し、再びクリーナーをしみ込ませて靴を拭いていきます。これを4~5回程度繰り返せば靴全体が磨けるはず。以前にクリームを塗っていた場合はツヤが少しなくなるはず。逆にこれ以上拭きすぎると革が荒れるので気を付けよう。
靴磨きは力を入れてごしごしするイメージがあるかもしれませんが、実際にはそれほど力を入れなくてOK。ちょっと力を入れて円を描くようにふき取っていきましょう。
クリーナーの定番はエム・モウブレィのステインリムーバー。クリーナーの中で平均的な性能を持つクリーナーで安価で購入できます。こだわりが無ければまずこのあたりを購入しておくと無難です。
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あと、布に関しては使い古したTシャツをカットして使うと良いです。ただ、無い場合は専用の布が販売されているのでそれを購入しておくと良いでしょう
[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし専用クロス リムーバークロス 9941
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6.クリームを塗り込む
クリーナーをかけ終わったらクリームを入れていく。クリームを入れることで革に栄養を与えてひび割れを防ぐ、革を柔らかくして履きやすくする効果が得られる。シューケアで大事な部分になります。
また、色付きのクリームを塗布すれば色が抜けたり傷がある場合にも隠すことが可能になるので臨機応変に対応すると良いです。黒い靴しか持っていない場合などは黒のクリームを購入しても良いですが、複数の違う色の靴を持っている場合には、とりあえず無色のクリームだけ購入すると良いでしょう。色をすべてそろえていくと高いので...。ニュートラルと書かれたクリームが無色のやつです。
クリームを少量指にとってアッパー全体に塗布していきます。人差し指で塗り込んでいくとクリームが革に吸収されていく様子がよくわかる。塗り込んでいくと伸びなくなるので、そうなったらもう一度クリームを指にとって塗っていきましょう。
指を汚したくない人は布にとって塗ったり、ブラシでとっても良いですが一番良いのはやはり指ですね。
油分や水分が抜けやすい履きジワのある部分は他の場所よりも少し多めにクリームを乗せてあげるようにしましょう。なお、お勧めのクリームは次の2種類。
まず一つ目はデリケートクリーム。靴に水分と油分を補給するためだけのクリームで、どんな革にも利用できる万能クリーム。ろう成分が入っていないので、それほど光り輝かないが、とりあえず革靴を長持ちさせる目的だけであればこのクリームだけで充分。
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二つ目はサフィールノワール、クレム1925。こちらは油性のクリームで水分があまり含まれていません。ろう成分が多いのでこのクリームを塗り込むと目に見えて輝きがます。靴磨きで目に見えて違いを知りたい人はこのクリームも購入しよう。手順としてはデリケートクリームを塗り込んだあと、その上からこのクリームを塗ると良い。厚塗りには注意しましょう。
7.ブラシでクリームをなじませる。
クリームを塗り込んだら、次はブラシを使ってクリームを革の中に浸透させましょう。ブラシを使って全体を強くブラッシングすることで革表面に塗られたクリームを均等に引き延ばす効果もあります。
今回使うブラシは、最初に利用したブラシではなく、豚毛ブラシというブラシを利用する。馬毛ブラシとは異なり、豚毛ブラシは毛が固いのでクリームをしっかり入れ込むのに適しています。
全体を磨くようにブラッシングすることはもちろんの事、クリームを多めに塗った履きジワの部分には特に入念にブラッシングするようにしましょう。
ある程度大きめのサイズでないと力を入れてブラッシングできないので、豚毛ブラシは大きめの物を購入しておくとはかどります。
8.クリームをふき取る
入念にブラッシングをした後は、余分なクリームをふき取ります。ブラッシングすると必要な栄養分は靴の中に入り込み、不要なクリームのみが革表面に残ります。このクリームを残していても仕方ないし周りが汚れる原因となるのでやさしくふき取ってあげましょう。
布はクリーナーを落とすときに利用した布と同じもので構いません。きれいな面を使ってふき取りましょう。
9.ポリッシュミトンで仕上げ
最後はポリッシュミトンで仕上げをします。グローブクロスとも呼ばれます。
細かい目の布をミトン型にした道具で、これでやさしく全体を磨いていくと光沢が生まれます。特にクレム1925を塗り込んだ後などにこれをすると見違えるほどきれいになります。簡単に光るのでおすすめです。
10.シューキーパーを外し、紐を結ぶ
最後はシューキーパーを外して、紐を元通りにすればシューケアの終了です。
靴磨きに必要な道具まとめ
今回紹介した靴磨きのやり方に必要な道具を改めてまとめておきます。
【靴ひも】
【除菌シート】
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【シューキーパー】
【馬毛ブラシ】
【豚毛ブラシ】
【布や仕上げミトン】
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【クリーナー】
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【クリーム】
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とりあえずこれら一式あれば、上記の靴磨きのやり方が再現できます。目指せシューケアマスター!
まとめ
今回は靴磨きのやり方ということで、シューケアについて紹介しましたが、いかがだったでしょうか。この靴磨きをきちんとするだけであなたの革靴は5年、10年と長持ちします。また、今まで靴磨きをしてこなかった人がこのシューケアを行えば靴が劇的にきれいになりますので靴磨きにはまること間違いありません。
文字に起こすとかなり長く思えるこのシューケアのやり方ですが、実際にやってみると10分程度で完了します。頻度も2週間に一度、面倒であれば1か月に一度でも構いません。たったそれだけの時間を確保するだけで靴の寿命が一気に延びるって考えたら魅力的ですよね。
また、靴磨きの道具も今回紹介したものであればすべて揃えても1万円以下でそろえることができます。一度購入した道具はかなり長く使えます。(1か月に1度のペースで磨けば2,3年はなくならないはずです。)そう、最低限の靴磨き道具だけであれば初期費用がそれほど掛からないのです。
今回の記事をきっかけに、靴磨きをする人が増えればうれしいです!もしやり方がわからなくなった場合はこの記事に戻ってきて、参照しながら磨いてみて下さいね!