【読書レビュー】名古屋の靴磨き職人・佐藤我久さんによる「楽しく磨けて靴も輝く靴磨きスタートブック」

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名古屋の靴磨き職人として活動されていることで有名な佐藤我久さんが、監修して作られた本「楽しく磨けて靴も輝く 靴磨きスタートブック」が発売されました。

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この本はタイトル通り、ビギナーでもわかりやすく解説されているほか、佐藤我久さんが実践されているアーティストパレッドを利用した「パレットシャイン」やハイシャインの際の布の巻きかたである「佐藤我久流:名古屋巻き」、ハンドポリッシュまで書かれており上級者にもお勧めできる本であるとされています。

 

今回は実際にこの本を購入してみたので、初心者にお勧めできるのかどうか、靴磨き職人など上級者でも満足できる内容なのかどうか、厳しい視点から読書レビューしていきます。

 

そもそも佐藤我久さんとは?

北海道出身、名古屋駅周辺で路上靴磨きを始めて現在は店舗を構える22歳。路上で人気が出たことから、クラウドファンディングを通して資金調達を行い「GAKUPLUS」を開店しました。

 

元々野球を行っており、野球のスパイクを丁寧に磨いていたそうです。いつもスパイクをピカピカに磨き上げている甲斐あって、「道具を大切にしているから代打で出場しろ」と監督から認められたのだとか。靴磨きの重要さを幼いころから実感していたそうです。

 

2018年の靴磨き選手権にて審査員特別賞を受賞するなど、実力も話題性もある素晴らしい靴磨き職人さんです。

 

内容

楽しく磨けて靴も輝く靴磨きスタートブックの内容は以下の通りです。

 

楽しく磨けて靴も輝く 靴磨きスタートブック

楽しく磨けて靴も輝く 靴磨きスタートブック

  • 作者: 佐藤我久,スタジオタッククリエイティブ
  • 出版社/メーカー: スタジオタッククリエイティブ
  • 発売日: 2018/10/02
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

・革靴の基礎

(持つべき足数・選び方・お勧めの革靴)

・手入れ方法

(靴磨きの理由・関連する語彙説明・お勧めの磨き道具・格好・シーン別磨き方)

・トラブルの対応方法

(濡れた・雨シミ・カビ・傷補修)

・プロに依頼するべき靴とは何か

 

ページ数的にそれほど分厚くない本ではあるのですが、初心者~上級者まで幅広くカバーできるような濃い内容に仕上がっていた印象です。

 

革靴の基礎として持つべき足数や選び方、お勧めの革靴まで紹介されています。

 

お勧めの革靴に関しては提供している会社が3社(ヒロカワ製靴・リーガルコーポレーション・kamioka)しかないため少し母体不足なような気がしますが、メジャーな靴の製法やサイズ感などが初心者でも理解しやすい分量で書かれている点に好感をもてました。

 

ちなみにスタジオタッククリエイティブ(「紳士靴の教科書」「紳士靴完全マニュアル」)というムック本※を制作している会社から発売されているのですが、ムック本にありがちな使いまわしが少なく、我久さんの磨き方を赤裸々に書かれている為従来の本を持っている方でも購入する価値があるなと感じました。

 

紳士靴の教科書

紳士靴の教科書

  • 作者: スタジオタッククリエイティブ,梶原崇(Studio Kazy Photography)
  • 出版社/メーカー: スタジオタッククリエイティブ
  • 発売日: 2016/10/25
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

 

紳士靴完全マニュアル

紳士靴完全マニュアル

 

 

※ムック本・・・他の書籍・雑誌に掲載した知識を再編集し一冊の本にまとめ上げたもの。新しく取材する内容が少なくて済むためコストが安く、出版社にとって利益が出やすい。制作方法上、他の本をすべて持っている場合には内容が重複することがある。

 

印象に残っている良かった点

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・初心者向け・上級者向けに分けて靴磨き道具が紹介されている

・通常の靴磨き本には書いていない詳細な内容がPOINTにかかれている

・薄い本にも関わらず内容が濃い

 

初心者向け・上級者向けに分けて靴磨き道具が紹介されている

まず一点目は初心者向け・上級者向けに分けて靴磨き道具が紹介されていることにあります。定番の豚毛ブラシ・馬毛ブラシはもちろんの事、ワックスやデリケートクリーム、布に関してまで細かく紹介されています。

 

初心者用・中上級者用またはプロ用といった感じで種類別に紹介されているので、初心者でもわかりやすいと言えます。初心者の場合それぞれの道具がどのような役割を持つのかわからないことがほとんどにも関わらず、一般的な雑誌では製品メーカーごとにまとめて紹介されていることが多いです。

 

そもそものアイテムの使い方がわからない!なんて方は持って来いと言えるでしょう。

 

通常の靴磨き本には書いていない詳細な内容がPOINTにかかれている

二点目は靴磨きについての細かな知識が埋め込まれていることにあります。例えば、

・乳化性クリームと油性クリームの違いは何か?

・ワックスをのせているのに光らない場合があるのはなぜか?

・鏡面磨きのグラデーションはどうすればつけられるか?

・鏡面磨きをするには何層乗せればよいのか?

・ステッチにクリームは入れるべきかどうか?

・上手にブラッシングするためにはどうすればよいか?

 

などなど、何となく聞いてみたいけどどの本を探しても見つからないなんて情報が事細かに書かれています。すごく親切だなと思わされました。すごい本です。

 

薄い本にも関わらず内容が濃い

他の靴磨きの本と比べても比較的薄い本だなと感じました。しかし、購入直後のプレメンテの方法から、それなりに履いた革靴のケア、茶色の靴、コードバンのケア、雨シミやカビなどのトラブル等について靴磨きに必要な基礎知識はこれ一冊でマスターできると言ってよいでしょう。

 

薄いから読みやすいにも関わらず、読めば読むほど理解が深まる為横に置いておきたい1冊です。

 

良くなかった点

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・お勧め靴の紹介が少ない

・アイテムに「初心者向け・上級者向け」の分類があるが、基準がわからない

 

お勧め靴の紹介が少ない

一点目はお勧め靴の紹介が少ないことです。少し前にも少し触れたのですが、革靴を提供しているメーカーがヒロカワ・リーガル・kamiokaの3社のみとなる為革靴を比較するには母体数が少ないなと感じました。

 

どれも外れることのない良い靴であることは間違いないのですが、革靴選びのためにこの本を買うのであれば少し物足りないかなと言わざるを得ません。

 

また、靴好きでよさそうな高級靴を探しているなんてケースでは参考にならないのが難点です。

 

アイテムに「初心者向け・上級者向けの分類があるが、基準がわからない

アイテムに初心者向け・上級者向けで分類されているのですが、プロ向けが初心者向けに比べてなぜ良いのかという理由が紹介されていない点が残念でした。

 

プロでも仕上げ方によっては安価なワックスやクリームのほうがお勧めだとされる方もおられるので、一概に高級ライン=プロ向けというわけではないと考えています。

 

その中でなぜこれがお勧めなのか!なんて書かれていたら良かったなと感じました。

 

まとめ:一読する価値あり!

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今回も良かった点・良くなかった点含めて厳しめに評価しましたが、いかがでしたでしょうか。私の総評としては読む価値ありだなと思います。

 

佐藤我久さんの靴磨きに対する考え方や、技術に関するあれこれが垣間見える本でしたので、靴磨きに関する知識がすでに豊富でない人、これから始めるという方どちらにもお勧めできる本です。

 

1400円と非常にお安いので、是非一読されてみてはいかがでしょうか。

 

楽しく磨けて靴も輝く 靴磨きスタートブック

楽しく磨けて靴も輝く 靴磨きスタートブック

  • 作者: 佐藤我久,スタジオタッククリエイティブ
  • 出版社/メーカー: スタジオタッククリエイティブ
  • 発売日: 2018/10/02
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る