靴磨きを行う上で欠かせないのが「ハンドラップ」と呼ばれるアイテム。
ハンドラップとは溶剤を入れておくための容器であるほか、指先一つで中に入っている溶剤を少量取り出すことができるアイテムです。
靴磨きでは鏡面磨きを行う際に水を利用しますが、そのお水を適量だけ取り出すために利用することができるということでハンドラップが良く利用されています。元々靴磨きでの利用は職人さんを中心に行われていましたが、世界一の靴磨き職人「ブリフトアッシュの長谷川さん」が動画内で利用していることがきっかけとなり一般の靴好きの間でも利用されるようになりました。
そんなハンドラップは様々なメーカーから販売が行われており、Amazonでは1000円~2000円程度で購入可能なほか、100均でもハンドラップと類似した商品を購入することができます。
靴磨き用品というのは揃えだすとそれなりの金額になってしまうので、できることであれば安価なもので揃えたいですよね。わかります。
そこで今回は100均で購入できるものから、2000円程度する高級なハンドラップまで一通り購入しましたので、3種類のハンドラップを比較しながらレビューします。
今回比較するハンドラップ
今回比較するハンドラップは次の3種類になります。
・100均(ダイソー)で購入可能なワンプッシュディスペンサーボトル
・アズワンのハンドラップ
・微量液体抽出ビン
100均(ダイソー)で購入可能なワンプッシュディスペンサーボトル
100均で購入可能なハンドラップがこちらです。100均ではハンドラップという名称ではなく、「ワンプッシュディスペンサーボトル」という名称で販売が行われています。
こちらの商品は元々溶剤を入れる用途というよりは、化粧品などを少量入れておくために開発されている商品になるため、化粧品入れのコーナーにて購入することが可能です。ダイソーであれば基本的に店舗規模関係なく置いていることが多いですが、近所に無い場合は都会などにある大きなダイソーなどで購入することが可能でしょう。
安価故に大量に購入できてしまう点が最大のメリット。
アズワンのハンドラップ
Amazonでハンドラップと検索するとおそらく一番上に出てくるであろうハンドラップは「アズワン ハンドラップ」なのではないでしょうか。
Amazon Choiceという表記の元販売されている商品であり、(アマゾンが直接販売・発送を行っている商品であり、かつレビュー評価が☆4以上の商品に付けられる商品です。)
アマゾンレビューは偽装などもあるので一概に信用できないのですが、こちらの商品のレビューは比較的信用できそうなものが多いですし、実際購入されている方も多いようです。
お値段は1000円と比較的良心的な価格設定となっており、初心者でも手が出しやすいと言えるでしょう。
微量液体抽出ビン
2000円程度する、少しお値段の高いハンドラップになります。おそらくブリフトアッシュの長谷川さんをはじめ、靴磨き職人が良く利用されているハンドラップがこちらになります。
サイド部分にはハンドラップと大きく書かれている他、赤いフタが特徴的。ほかの商品にはないデザイン性もこの商品の売りの一つと言えるでしょう。
靴磨き以外にもカメラレンズなどの手入れ溶剤を入れる用途にも多く利用されているようです。
ハンドラップ3種の比較&レビュー
大体の特徴説明が終わったところで、次は実際に商品の開封&商品の比較に移ります。
ワンプッシュディスペンサーボトル(100均)
まず一つ目のハンドラップはこちら、ワンプッシュディスペンサーボトルになります。内容量180ml、材質はポリプロピレンと呼ばれるプラスチックによってできています。材質がプラスチックなだけあって非常に軽く持ち運びに便利な印象を受けます。
購入際には袋などは存在せず、商品そのものに商品名と製品説明が書かれたシールが直貼りになった状態で販売されています。ハンドクリームやニベアを塗って数分放置してからはがすときれいにはがすことができます。
構造としては普通のペットボトルに水が吸い上げるキャップがついたような形になっています。
水が出る受け皿部分は他のハンドラップと比べるとかなり大きく作られており、500玉程度の大きさがあります。大量に水をキープしておきたいのであればこのサイズ感は非常に便利です。
一回プッシュすることでこの程度の水が一度に出ることになります。ほかのハンドラップに比べるとかなり多い分量になります。鏡面磨きを行うにあたって、布を濡らすのであればこの量は若干取りすぎ。指で少しずつ水を垂らすといった使い方でなければうまく利用できなさそうです。
なお、水を出す際のワンプッシュのドロー感(押すときに必要な力)は最も重くなっています。片手で行うのは難しいので、片手でボトルを抑えながら水を出すような形になります。
水を出す際には両手が使えなくなるため、靴磨き時間が若干長くなるほか、手間がかかってしまうかもしれませんね。
また、水が出る部分を圧迫しながら水を出すと水が飛び散ってしまうことが多いので、水を出すために受け皿部分を押す際には端っこを押すようにして出すようにしたほうが良いです。
しかし、ワンプッシュが重い&ペットボトルのような構造ということもあり、横や裏返しで保存しても内容物が漏れ出ることはありません。そのため、鞄の中で管理するのであればこのハンドラップが最も安心できると言えるでしょう。
なお、材質は冒頭にもお話しした通りポリプロピレンによってできている為、水やアルコールを保存する分には大丈夫なのですが、アセトンやベンジンなどを保存すると相性が悪く、これらの溶剤がハンドラップの容器を溶かしてしまう可能性があります。いろいろと危険なのでこれらは保存しないようにしましょう。
【100均ハンドラップまとめ】
〇メリット
・内容量が最も大きい
・中身がほぼ漏れない構造で持ち運びに安心
・ハンドラップそのものの重量が軽い
・値段が圧倒的に安い
〇デメリット
・ワンプッシュが重く片手でできない
・アセトンやベンジンなどの劇薬は入れないほうが賢明
・一回にとれる水の量が多すぎる
アズワンのハンドラップ
次に、アズワンのハンドラップになります。お値段はおよそ1000円程度となっており、ダイソーの製品の10倍のお値段となります。AS ONEと書かれた箱に包まれて届きます。
本体はガラス製となっていますが、チューブ部分はフッ素化エチレンと呼ばれるプラスチック製となっています。蓋は白色となっておりシンプルな雰囲気に仕上がっています。
プラスチックとは言えども、フッ素化エチレンはあらゆる溶剤への耐性がある為、ベンジンや高濃度アルコール、アセトンなどを入れても溶けることがありませんので安心して利用することができます。
仕組み的には100均のハンドラップと同様にポンプでくみ上げるような仕組みになっていそうですね。
あまり気にはならない程度ですが、2000円するハンドラップと比較するとこれと言った装飾が無いためか安っぽさが若干感じられますね。
白色のふたは回転式ではないものの、固くなっており持ち運びの際にも外れることはあまりなさそうです。気を付けて外さないと写真のように水の受け皿部分諸々外れてしまいます。
サイズ感はこんな感じですが、おそらく100均のハンドラップに比べると内容量は少なめです。重さは260gとなっています。
水を受ける受け皿はサイズ的に小さいものの、若干深さがあります。
水量は3種のハンドラップの中で中間ぐらいです。若干水量はこれでも多いかもしれませんね。
水を出す際のワンプッシュのドロー感(押すときに必要な力)は3種類のハンドラップの中で最も軽い印象を受けます。片手で簡単に水を出すことができますが、軽いので何度も押すと水を取りすぎてしまうあたりが注意点だなと感じました。
なお横に倒したりしても水は漏れないようになっています。
【アズワンハンドラップまとめ】
〇メリット
・どんな溶剤にも強い
・しっかりしたハンドラップの中では安価
・蓋が固く水が漏れ出ることが少ない
〇デメリット
・ワンプッシュが軽すぎる
・重いので持ち運ぶのが難しい
・デザインが安っぽい
微量液体抽出ビン(2000円のハンドラップ)
最後は一般的な靴磨き職人が良く利用しているハンドラップになります。値段にして2000円程度。ほかに比べると少し割高であり、ハンドラップの中では最高級の部類にあたります。
そんなハンドラップはこんな感じの箱で到着します。ほかのものと比べるとしっかりした箱に包まれていました。
ボトル本体はもちろんガラス製ですが、水を吸い上げる部分は金属製でできており、何となくの高級感があります。サイド部分にはハンドラップと書かれており何となくそれっぽい雰囲気が漂います。細部のデザインも他に比べると丁寧になっていることが分かります。
赤色の蓋が付属していますが、これは単なるかぶせものとなっています。ゆるゆるで、すぐに取れてしまうので持ち運びの際には一工夫しなければ不便ですね。
内容量はアズワンのハンドラップと大差ありません。重さはこちらのほうが12gほど重いようなのですが、体感的には同程度に感じられます。
水が出るお皿の部分は他のハンドラップに比べると小さく設計されています。皿の大きさそのものはアズワンのハンドラップと変わりませんが、深さがあまりありません。
実際に水を出してみると、ほんの少しだけ出るようになっています。これなら直接布に取ってしまっても問題ない量ですね。
水を出す際のワンプッシュのドロー感(押すときに必要な力)はそれほど必要ないのですが、アズワンに比べると若干重たく設定されています。心地良い重さで水分量のコントロールが行いやすいのが特徴です。
また、ハンドラップで水を出すためにプッシュをすると、カタンカタンと心地よい音が出ます。それっぽさを求めるのであればこの2000円のハンドラップ一択になりそうです。
横にしても水は漏れませんが、真っ逆さまにしておくと若干水が漏れてしまうのが課題点です。ほかのハンドラップと内部構造が違うためか、本当に少しずつ漏れてしまうようです。一気に漏れるわけではないのですが、真っ逆さまにした状態で数週間放置すると内容量が少なくなっていました。
蓋もあってないようなものなので、持ち運びの際には十分に注意したほうが良いでしょう。
【2000円ハンドラップまとめ】
〇メリット
・高級感がある
・水量は3つのハンドラップの中でベスト
・水を出すときのドロー感(押すときに必要な力)はこれが最も良い
・水を出すと良い音が鳴るので心地よい
〇デメリット
・(アズワン同様)重たい
・蓋が緩く、持ち運びの際には一工夫必要
・逆さまに保存してはいけない
3種類の比較まとめ
水量の比較
水量を比較した写真は次の通り。
3種類で比較
2種類(アズワンと2000円ハンドラップの比較アップ画像)
上記のでも説明しましたが、水量は多い順番に
100均ハンドラップ < アズワンハンドラップ < 2000円ハンドラップ
となります。
100均の水量は多すぎるので直接布に取ると多すぎるのですが、2000円ハンドラップだと直接とっても適量程度の水量になります。さすが、カメラ等の精密機械手入れに利用されるだけあると言えますね。
ベストな水量が判断しづらい初心者の方は特に、少し割高であっても2000円のハンドラップを購入しておくと便利であると言えるでしょう。
総合的な比較
それぞれのハンドラップを一つにまとめたものが上記の表になります。
100均のハンドラップは価格が安い分使い勝手がそれほど良くないものの、軽量であることや水の漏れにくい構造から持ち運びに非常に便利であるという特徴があります。
それに対し、2000円のハンドラップは使い勝手が圧倒的に良いものの、携帯するには不向きという結果となりました。
アズワンのハンドラップはそれらの平均をとったような性能となっています。
靴磨きを始めたばかりでとりあえず安価で済ませたいという方や、サクッと持ち運びたいという方は100均のハンドラップがお勧めです。実際私も、布とワックスだけ持ち運んでいることが多いのですが、そのような場合には100均のハンドラップを合わせて持ち運んでいます。
靴磨き用品バッグだと多少漏れても問題ないのですが、普通のバッグに入れる際には漏れるといろいろと大変なので今でも重宝しています。
本格的に靴磨きを始めたい・始めている方や、靴磨き職人を仕事にしたいと考えている方は2000円のハンドラップ一択であると言えます。少しお値段が高くなっていますが使い勝手はやはりこれが最も良いです。
アズワンのハンドラップと比べると2倍程度差があるので躊躇されてしまう方も多いと思うのですが、実際に比べてみると結構違うのでケチらずにこちらを購入しておくとストレスなく靴磨きができて良いですよ。
どうしても本格的なものが欲しいけど、さすがに2000円は出せないなと感じる方はアズワンのハンドラップで妥協しておくのも一つの案です。(多分手に入れた後に2000円のハンドラップが欲しくなりますが..)
まとめ
今回はハンドラップ3種類の比較記事でしたが、いかがだったでしょうか。最も靴磨きに適しているのは2000円する高いハンドラップという結論になりました。やはりお値段張るだけあってしっかりしたつくりになっていることが証明できてよかったです。
使いやすいハンドラップは2000円のもの一択ということでしたが、自分のお財布状況や、用途に合わせて選ぶハンドラップは変わってきます。自分の状況に応じて臨機応変に選んでみてはいかがでしょうか。