革靴がひび割れた!そんな時は紙やすりを使って補修しよう。

スポンサーリンク

どうも、靴磨き職人の村上友哉です。

 

早速ですが皆さん、革靴がひび割れたなんて経験はありますでしょうか。このページを読んでいる大半の方は現在進行中で体験されているのではないでしょうか。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153728p:plain

革靴がひび割れることを靴業界では「クラック」と呼ばれており、このひび割れを補修するのはなかなか困難です。そのため、ひび割れた靴はもう使えない、新しいものを買おうというのが一般的な考え方です。

 

でも捨てるのはもったいない!そう思うのは当然のことです。今まで晴れの日も雨の日も生活を共にしてきた革靴を捨てるなんてそう簡単にはできません。

 

そういうわけで今回は、ひび割れだらけで使い物にならない革靴をなんと、紙やすりで補修する方法について書いて行きます。

 

 

 そもそもクラックはなぜ起こるのか。

クラックが起こる仕組み

まず初めにひび割れが発生する原因についてお話しします。革靴がひび割れが起こる一番大きな理由として上げられるのは、「靴の油分不足」によるもの。つまり、お手入れを怠っている靴に発生しやすいのがクラックという訳です。

 

また、当然靴は消耗品なので、手入れをしていたとしても長期間使用している場合にはひび割れは発生します。

 

他にもさまざまな理由(偶然使われていた革の部位が良くなかった、サイズがあっていないため革に負担がかかった)等が考えられますが、今回は省略するとします。

 

補修できるクラック、補修できないクラック

クラックが起こりやすい部位は大きく次の3つに分類されます

・全体的にひび割れを起こした

・甲のシワ部分が軽くひび割れた

・甲のシワ部分が深く割れて穴が空いた。

 

まず一つ目、全体的にひび割れを起こしている革靴に関してです。全体的にひび割れを起こしている靴というのはそもそも手入れがされていなかった革靴。水分不足の為全体的に革が死んでしまっている場合に起こる現象です。

 

次に二つ目、甲のシワ部分が割れてきた場合です。こちらは手入れを怠った場合はもちろんですが、長期間革靴を利用した場合にも発生するひび割れです。

 

最後のは手入れを全くしていなかった、足のサイズに合わないものを着用していた、長期間履きつぶしていたものになります。

 

 

ひび割れには比較的容易に補修ができるものと、補修が困難なものがあります。今回の場合だと上記二つは簡単に補修できることが多く、最後の物は補修が困難です。

 

そういうわけで今回は真ん中ぐらいのひび割れ(甲部分のしわがかなりひどいやつ)を使って、補修をしていきましょう。

 

クラックを修理しよう

補修のために買わなければならないものまとめ。

まず最初に、クラック補修を行うために必要なアイテムを解説します。

 

・耐水紙やすり(400、600、800、1000、2000)

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153545j:plain

また、通常の靴磨き道具を持ってない人は最低限以下のアイテムを持ってると良いです。

 

 

 

・レノマットリムーバー

 

 

・デリケートクリーム

 

[エム・モゥブレィ] デリケートクリーム  2026 NT ニュートラル 60ml

[エム・モゥブレィ] デリケートクリーム 2026 NT ニュートラル 60ml

 

 

・いらない布(Tシャツ等)

 

 

[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし専用クロス リムーバークロス 9941

[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし専用クロス リムーバークロス 9941

 

 

クラックの補修方法

クラックを補修する方法は非常に簡単で、紙やすりでクラック部分を削ってあげるだけです。手順は以下の通り

 

1.レノマットリムーバーで付着している油分、ろう成分を全て落とす。

 

2.クラック部分を400番の紙やすりで削る。ある程度削れてきたなと思ったら600番に変更して、引き続きごりごり削る。

 

3.ある程度なくなってきたら、800番に変更し、その周囲を削る。そのまま1000番、2000番と大きい数字に変更して引き続き削る。

 

4.削り終わったら削りカスをブラシや布できれいにして、デリケートクリームを塗り込んで完了。

 

すごく簡単です。

 

革靴ってやすりで削って大丈夫なの?

よくある質問が、革靴を紙やすりで削って大丈夫なのかという質問です。通常紙やすりと言えば、金属や木材などを削るイメージが大きいので、動物の革を削るなんて...と思う方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、実際のところ動物の革というのは皆さんが思っている以上に屈強です。革靴に使われてる革は約1cm弱あります。結構分厚くなってます。そのため、ちょっと削るぐらいではびくともしません。

 

イメージ的にはこんな感じです。

 

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531155815p:plain

 

いざ、補修してみよう。

今回使用する靴はこちら。

それでは実際にクラックの補修をしていきます。f:id:bump-rikuzyo:20180531153047j:plain

 

今回利用するのは甲の部分に比較的深めにクラックが入っている「リーガル 122R 」を利用します。

 

こちらの靴はあまり手入れされてなかったみたいで結構深めにクラックが入っています。ひび割れが入ってからも結構履いていた形跡があるので、ぎり穴が空いていないとは言え、全て戻すのは難しそうですね。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153122j:plain

削っていきます

まずワックスなどはあらかじめ落とした段階からスタートです。まずは400番の紙やすりで削っていきます。初めて削る際にはシューズキーパー入れておいたほうが良いです。削るときに後ろ側から支えながら行うのはなかなかの苦行。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153221j:plain

 

お勧めはこんな感じのシューズキーパーです。プラスチックやばね式だと空洞ができるのでやすりをかける際にはあまり向きませんね。

 

 

ちょっと余談を挟んでしまいましたが、400番で削っていくとこんな感じになります。この後もう少し丹念に削った後、600、800...と細かい目で削っていきました。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153248j:plain

初めて紙やすりを利用する方は400番の時に躊躇してあまり削れないかもしれませんが、あとのやすりで細かく磨き上げるので、結構がっつり削っても構いません。(粗く削っていいという意味ではない)

 

最終的に2000番まで磨き上げたのがこの写真です。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153355j:plain

結構しわが深く入っていたこともあり、完全にひび割れがなくなった訳ではありませんが、磨く前、磨いた後を比べてみるとその差は一目両全です。

 

この後、気に入らなかったのでさらに削り、丁寧に磨き上げました。

 

完成形はこちら

結果的に、こんな感じに仕上がりました。どうでしょうか。補修前には深く入っていたひび割れがかなり目立たなくなり、きれいに仕上がっているのではないでしょうか。

 

f:id:bump-rikuzyo:20180531153449j:plain

最終的な仕上げに、今回紹介していない磨き道具をいろいろ使いましたが、基本はレノマットリムーバー、紙やすり、デリケートクリームがあれば大丈夫です。

 

・油分や汚れを落とす

・ひび割れを補修する

・抜けた油分を再度補給する

この3つのステップを踏めばひび割れは大体補修することができます。

 

クラック修理を上手に行う上で必要なポイントまとめ

箇条書きでまとめました。

・削る前に必ず「汚れ」「ろう落とし」、削った後は「油分入れ」。

 →やする前に「汚れ」や「ろう成分」を抜いておかないとうまく削れてくれません。逆に、削り終わった後にクリームを入れてあげないと革靴が傷んでしまいます。

 

・400番~600番は思い切ってしっかり削ってあげる(穴を開けたりしない程度に、ひび割れ部分をすべて取り除く)

 →革は私たちが思っている以上に強度あり。

 

・時間をかけるべきは紙やすりの1000~2000番。3000番まで行っても良い。

 →手を抜きがちだが、ここでしっかり削らないと表面が荒くなり、磨いてもきれいにならない革になってしまう。

 

・シューズキーパーを入れると作業がはかどる

 →少し前に述べた通り

 

・補修終わった後、革くずだらけになるので必ず新聞紙を引くようにしよう。

 →奥さんがいる方は、奥さんに怒られるぐらい荒れます。

 

利用した道具の再確認(最低限)

・紙やすり(400~2000番)

・レノマットリムーバー

・デリケートクリーム

・シューズキーパー

・布

 

 

 

 

 

[エム・モゥブレィ] デリケートクリーム  2026 NT ニュートラル 60ml

[エム・モゥブレィ] デリケートクリーム 2026 NT ニュートラル 60ml

 

 

 

 

 

[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし専用クロス リムーバークロス 9941

[エム・モゥブレィ] 汚れ落とし専用クロス リムーバークロス 9941

 

 

注意点

これらの修理は通常靴磨き屋さんなどでも行ってくれますが、これらの値段はかなり高いもの。自分でやったほうがかなり安いです。

 

しかしこの方法はかなり初心者には難しく、削りすぎたり穴が空いたりすると取り返しがつかないもろ刃の剣でもあります。さすがにそこまで責任はとれないので、自己責任でやってくださいね(笑)

 

もしこれより深い傷を補修する場合や、自分で行うのが怖いという方は、初めからプロに任せるとちょっと高いですが満足のできる仕上がりになります。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。今回は革靴のひび割れを、なんと紙やすりで削り取ってしまうという方法で補修する記事でした。ひび割れがなんとやすりだけでそこまで何とかなるものなのか...!と驚かれた方も多いのではないでしょうか。

 

自分で育ててきた靴なんだから自分で何とかしてあげたいという方や、靴修理に出すのは高いから安く何とかしたいという方はとりあえずこの方法を試してみてはいかがでしょうか。

 

間違っても穴が空いたからって、革靴をすぐに捨てないように!いつまでも大切に履いてあげてくださいね。ではまた。